お疲れ様です。桜田紋吉(もちろん仮名)はここにいます。本日もヨロシクお願いします。
今日の『は?』なんですがぁー・・・
仕事が終わって帰宅すると
ちょうど嫁さんと子供がお風呂から上がってきたんですよね
で
嫁さんに「ただいまぁー」と声を掛けたら
不機嫌そうに「・・・・おかえり」と目も合わせずに言われました。
結婚している方なら理解出来ると思いますが
大した理由は無いのに謎に嫁さんが不機嫌な時ってありますよね?
ってか人間なら誰しも謎に不機嫌な時はあると思いますけども。
とりあえず
『うわぁー・・機嫌悪そうだなぁ。あまり触れないでおこうか・・・』と思い
別の部屋に行こうとした瞬間・・・
嫁さんのパジャマ姿に目が止まりました。
嫁さんが着ているパジャマに
オシャレな感じで英語の文面がプリントされていたんですよね。
プリントしてある文字をよく見ると・・・
『have a good time!』
って書いてあったんですよねぇ。。。
思わず『どこがだよ』と心の中でツッコミました。
ってことで今回の『は?』は
『は?何が「楽しい時間を過ごす!」だよ。服と表情のギャップが最高!』
の『は?』でした。
では本題へ。
自分で言うのも変だが
俺は『頭の回転が速いタイプの人間』だと思う。
学力なし・体力なし・根性なし
の人間ではあるが頭の回転だけは良い。
今までの人生で
学力と体力と根性のどれかが足りない時には
頭をフル回転させてピンチから逃れてきた。
今日も俺がのほほんと生きているのは
完全に『頭の回転の良さのおかげ』だと思っている。
マジで様々な危機的状況を見事に回避してきた。
時には『頭をフル回転させ絶妙な嘘をついて面倒な事柄を回避』して
時には『頭をフル回転させ絶妙な言い訳をして責任を逃れたり』して
時には『頭をフル回転させ絶妙な隠し事をして問題から自分を遠ざけたり』して
・・・・っていうか
全部サイテーじゃねぇか(笑)
さすが俺だぜ。。。
というわけで
今日は俺の人生の中でも印象に残っている【あぁ~!あの時はマジで頭フル回転させたなぁー!】っていう出来事を紹介しようと思う。
あれは10年ほど前・・・まだ20代前半だった桜田紋吉(もちろん仮名)は
日本酒を造る酒蔵に就職して2年が経とうとしていた。(また酒蔵の話かい!他の酒蔵の話は過去のブログを探してみてちょ)
当時の俺は就職して2年経つとはいえ
まだまだ日本酒の知識は薄く、ぶっちゃけて言うと日本酒に対しての興味も微妙な感じで
ただの素人が仕事だから仕方なく日本酒を造っているだけの状態であった。
・・・で、ある日のこと
そんな俺に社長が告げた。
「日本酒の説明会に参加してきてくれるかな?」
もちろん俺は「はい!」と返事をして(「いいともー!」とは言わなかった)
日本酒の説明会への参加を決めた。
『社長は俺に【日本酒の知識を増やして興味を持ってほしい!】って思ってんだろーな』
と思った俺は
説明会で話される内容はメモをして忘れないようにしないとダメだなと
珍しく勤勉モードに入っていた。
そして説明会当日・・・
『スーツ着用』を命じられた俺は
ビシッとスーツでキメて会場へと電車で向かった。
電車に一時間ほど揺られ会場へ到着。
会場に入ると・・・
『スーツ着てんの俺だけじゃね?』
と思ってしまうほど
ラフな格好をした人達がたくさんいた。
『チッ。なんだよ。わざわざスーツじゃなくてよかったじゃねぇーか!』
俺は損した気分になっていた。
・・・・がしかし!!!
その数分後に
俺が『スーツ着用』を命じられた理由が明らかになった。
なんと・・・
この日本酒の説明会・・・
まさかの・・・
俺が【説明する側】だったのだ!!!
マジでパニック・・・。
だって何の準備もしてないんだもん。
泣いて許してもらえるのなら泣こうかなとも考えた。号泣してやろうかと。
しかし
もはやどうにもならない。
もう俺はパニックになりながら『冷静なフリ』をするのが精一杯だった。
『冷静なフリ』をしている俺に
この説明会を主宰した人なのか
ただの関係者なのか知らないが
一人の男が近寄ってきて
「◯◯酒蔵の桜田さんですよね!?今から説明会の流れを話したいのですが大丈夫ですか?」と言ってきた。
そもそも『この説明会は何なのか?』すら分からない俺は即答で「はい!ヨロシクお願いします!」と返事をした。(大丈夫ですか?って言われた時「大丈夫なワケねぇーだろ!」と殴りそうになった)
で、その男が言うには・・・
今日の説明会は
6つの酒蔵の代表者(1つの酒蔵につき1人)が来ているとのこと。
代表者と言っても『酒蔵の次世代を担う人』を呼んだと。
で
会場のステージの上に立って
『自分達が造っている日本酒の特徴』
『自分達が造っている日本酒のアピールポイント』
『将来どういった日本酒を造りたいのか』
『自分が勤めている酒蔵を今後どういう風な酒蔵にしていきたいのか』
・・・等の質問を司会者の方がするのでステージの上から答えろと。
ステージの下には日本酒ファンの一般の人がたくさんいますと。
その質疑応答の時間が終われば試飲会を行うので
自分の酒蔵の酒が並んでいるブースに移動して下さいと。
そのブースにさっきまでステージの下にいた日本酒ファンの方々が日本酒を買い求めに来るので営業トークで接して下さい。
で夕方になれば終わりです。
・・・・という流れだった。
・・・・いや、俺にはハードル高くね?
ヤバくね?何これ?嫌な予感しかしない!
好きか嫌いかで言うとメッチャ嫌いな時間が開始しようとしている気がする!
そもそも『次世代』を担った記憶は無いから!
普通より少し安いレベルでいいから給料が貰えて、普通に休日があって、ダラダラと暇な仕事でもなく、だからと言ってバタバタと忙しい仕事でもなく、それでムカつく奴がいない環境ならいいなぁ~ぐらいしか思ってねぇよ俺は!!!
ノンポリなんだよ俺は!!!
「俺の人生は・・・もちろん日本酒です。」みたいな熱くてウザい職人と一緒にすんな俺を!!!
マジでピンチ!!!
ピンチはチャンスとか言う人いるけど
ピンチはピンチだよバカ野郎が!!!
・・・・と言っても
俺の他に5人の人間が【説明する側】として来てるんだよな?
その5人の中には俺みたいなタイプの人間もいるだろ?命令されたので参加しただけですって冷めた奴がよ。
とりあえず『代表者用の控え室』があるらしいから行ってみるか・・・。
で控え室に到着。
どんな5人が集まっているのか分からなかったので・・・
念のため「◯◯酒蔵の桜田です!ヨロシクお願いします!」と愛想笑いを爆発させて控え室へ突入した。
部屋を見渡すと5人が談笑していて俺が最後に控え室に到着したのが分かった。
俺が控え室に入った途端に
談笑していた5人が俺の顔を見て2秒ほど静かになり
「はい。よろしくー。」と5人が小声で俺に言った後
また5人の談笑が再開された。
楽しそうに5人が盛り上がっている。
・・・・そう。そうだ。間違いない。
この感じは・・・
俺は完全に・・・・
蚊帳の外の扱い!!!
『えっ?もしかして・・・この5人は何時間も前からスタンバイしてんのか?俺がギリギリに来たから蚊帳の外なワケ?』
と一瞬だけ『もう少し早く来るべきだったな』と後悔していたが
5人の会話を聞いていると
どうやら俺がギリギリに来たのが原因ではないみたいだ。
会話を少し盗み聞きしてみて分かった。
この5人は『それぞれの酒蔵の社長の息子』らしい。
だから【次世代を担う人】ってわけだ。
残念ながら俺が勤めている酒蔵に『社長の息子』はいなかったし、若い従業員も当時は俺だけだった。だから必然的に俺が説明会に出ないといけなくなった。(やれやれだぜ)
数分間ほど盗み聞きを続けた結果・・・
この5人は『酒蔵の跡継ぎ』として少年時代から
『同業者が集まる会合』や『同業者同士が行う会議』や『同業者がいくつも集まる日本酒の説明会(今回みたいなやつ)』
などに5人とも顔を出している・・・
よって昔から知り合いの5人は超仲良しだという関係性もヒシヒシと伝わってきた。(5人が昔話で盛り上がっていたから判明した)
・・・・なるほど。なるほど。
ボンボンの集まりってわけね。
坊っちゃんってやつか?オッケーオッケー。
で何?何?だからかな?
完全に俺に対しては・・・
『おまえ素人だろ?情報は入ってんだよ。おまえと俺達は生まれた時から格が違うんだ!気安く近寄んなよ!』
みたいな空気出してるよね?
完全に空気出してるよね?そこのボンボン5人組さんよ!
・・・俺はこの業界でありがちな洗礼を受けていた。
日本酒製造を行う酒蔵のような
『先祖代々、家族で伝統文化を守ってきました!』みたいな職種にありがちな洗礼だ。
このような職種の人達は
とにかく横の繋がりが強い。しかも狭い。(俺の見解ね)
伝統文化を守ることを最優先したいのか『繋がりを狭く!そして強く!』みたいな空気で溢れている。(俺の見解よ)
新しく入ってこようとする人間には冷たくて厳しい。(俺の見解)
『そんな感じだから、酒蔵を継ぐ人が減って倒産する酒蔵が増えているんじゃないのか?』とも思うが
とにかく新参者には冷たく、厳しい。
そして何より、新参者に接する態度が『偉そう』である。
昔から酒を造っていることの何が偉いのか俺には理解不能だが(『昔から個人で毎年100万円は必ず発展途上国に寄付してます!』とかだったら偉そうにしてもいいと思うけどね)
とにかく偉そうに接してくる。
その証拠に
控え室で15分ほど黙っていた俺に
ボンボン5人組の中の1人が近付いてきた。
ボンボン「◯◯酒蔵の桜田君だっけ?」
桜田紋吉「・・・・はい。」
ボンボン「何でこの業界に入ったの?(笑)」
桜田紋吉「いやぁー・・・なんとなくっすね。」
ボンボン「なんとなくか(笑)そんな感じで大丈夫?(笑)」
桜田紋吉「まだまだ勉強中です。」
ボンボン「今までに酒の勉強をしたとか、どっかで修行してきたとかは?」
桜田紋吉「いや、ないですね。」
ボンボン「へぇー(笑)そうなんだ(笑)」
桜田紋吉「・・・・。」
・・・ほらね。こんな感じだ。
偉そうと言うか・・・
バカにしていると言うか・・・
たまたま酒蔵を経営していた場所に生まれただけの奴なのに・・・
アンタが今の環境を1から育てたのなら100歩譲って許してやるが・・・
クソッ・・・。
俺は心の扉をガチガチに閉めてボンボン5人組とは完全に接触するのを止めようかと考えたが(いつもならソッコーで距離を取れるだけ取る)
今日だけはそうはいかない。
何と言っても今日は『日本酒の説明会』だ。
しかも俺は【説明する側】である。
【説明する側】なのに『説明できる知識はゼロ』なわけだから・・・
やることは1つだ・・・!
・・・そう。
このボンボン5人組から・・・
知識をパクる!!!(もうコレしかない)
もちろん・・・
コッチは素人だ。すぐに知識をパクることは難しい。
そもそも、パクれたとしても内容が難しければ記憶すらできない可能性が高い。
だからこそ・・・
知識をパクるんじゃない・・・
アンタらが客前で話す説明内容を
俺が絶妙にブレンドして・・・
俺だけのオリジナルになるようにパクってやるのさ!!!
コッチはさっきの説明会の流れを話してきた男からちゃんと聞いてんだぜ・・・
6人が同時にステージ上に立って1つの質問に対しマイクリレー方式で1番の人間から順番に6番の人間まで答えていくってな!
しかも・・・不幸中の幸いだが・・・
俺が・・・
6番なんだよ!!!(強運の持ち主だぜ)
アンタら5人が喋った後、俺にマイクが回ってくんだよ。
マッハスピードで頭フル回転させてやるぜ。
最高だ。
ボンボン5人組さんよぉ
今日だけは下手に出てやるよ。
・・・・さぁ、そろそろ時間だぜ。
説明会が始まるぞ。
早く俺に・・・・
パクらせな!!!(誰だコイツ)
次回へ続く。
(坊っちゃん達がもう少し柔らかい人達だったら素直に「素人なんで色々と教えて下さい!」って言えたのになぁ。なーんか輪の中に入るのが嫌だったんだよね)