振り返ればオアシス!

桜田紋吉(もちろん仮名)です。特に何のテーマも無いブログ《ノンポリブログ》です。過去のエピソードを書く時は事実を元にして右往左往しながら書いているので100%ノンフィクションかと言われたら胸を張って「知らん!」と答えるつもりです。

絆を深めるソーラン節②

こんにちは!今日も書きます!よろしくお願いします!桜田紋吉です!

 

 

 

では

 

前回の続きを・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

ソーラン節のリーダーに選ばれちまった桜田紋吉。

 

選ばれちまったからには『やるしかねぇ』ってことで

 

反発せず流れに任せることにした。

 

 

 

 

 

そして

 

8月になり朗報が入ってきた。

 

『リーダーが選んだ人であればリーダー以外の生徒も8月後半の3日間の練習に参加していいよ』と。

 

これはマジで朗報。

 

まず

 

リーダーに選ばれている人と俺ではキャラが全く違う。

 

つまり

 

マジでリーダーだけで3日間の練習をするとなると俺の精神が崩壊する可能性がある。

 

俺だけ浮きっぱなしの3日間になるからだ。

 

だから

 

『リーダー以外の人もオッケー』の追加ルールは非常に助かる。

 

 

 

 

 

さっそく

 

仲の良い俺と似たようなキャラの人達に声を掛けた。

 

俺と似たようなキャラの人達は

 

俺と似ているもんだから「えっ?嫌なんだけど!」と最初は必ず拒否。(絶対に拒否から入るのよ)

 

 

「・・・でも桜田がいるんだろ?じゃあ行こうかなぁー・・・」と最終的には了承してくれる良い人ばかりだった。

 

結局5人ほどに声を掛けた。

 

とりあえず5人共が練習に来てくれることになり一安心。

 

 

 

 

 

『よしっ!これで俺のストレスも軽減だ!』

 

と余裕で8月の後半を迎えようとしていたら

 

なんと

 

通っていた塾の先生から

 

『8月の後半に3日間テストをします!』

 

と連絡が来た・・・。

 

 

 

 

 

これが・・・

 

まさかの・・・

 

3日間すべてがソーラン節の練習日とカブっていた。。。

 

日程も時間もカブりまくり。。。

 

 

 

 

 

俺は悩んだ。

 

めちゃくちゃ悩んだ。

 

もしソーラン節を優先するとなると

 

母親からブチキレられるのは間違いない。

 

部活動に熱中しているだけで

 

『おまえの本職は学生だろ?プロのスポーツ選手になれるわけでもないのに部活動に熱中すんな!勉強に熱中しろ!』

 

と鬼の形相で怒鳴っていた母親だ。

 

「ソーラン節に行かないと・・・」なんて死んでも言えない。

 

「おまえは将来、ソーラン節で金を稼げると思っているのか?え?」とか言われそうだ。

 

塾のテストを無視してソーラン節に参加したとしても

 

当時は携帯電話なんて所持していない中学生だ。

 

塾から家に電話で「紋吉くんがテストに来てないけど?」なんて言われちゃうと

 

一発でバレる。

 

 

 

 

 

やばい。。。どうしよ。。。

 

 

 

 

 

 

 

結局・・・

 

俺は・・・

 

 

 

 

 

 

テストを受けに行った。

 

しかも

 

誰にも内緒で。(最低)

 

 

 

 

 

あぁ!そうさ!!!

 

ソーラン節のリーダーに選ばれてるのに

 

誰にも内緒でテストを受けたよ俺は!!!

 

仲の良い5人を練習に参加させておきながら

 

俺は無断で塾のテストさ!!!

 

だって母親から殺されるからね!!!

 

じゃあなんで誰にも内緒だったのかって?

 

 

 

 

 

 

 

・・・言えるわけねぇーだろ!!!

 

学校の先生には

 

「リーダーとして頑張ります!」って言っちゃってたし!

 

仲の良い5人には

 

「頼むから来てよ〜!」って調子良く勧誘してんだよコッチは!!!

 

今になって

 

「塾のテストが〜」とか言えるか!!!

 

もう暴走じゃ!!!

 

知らんぞ!!!俺は!!!

 

 

 

 

 

心の中で

 

『そもそも俺はリーダーには選ばれていないと思う』と勝手に自分に言い聞かせ

 

体育祭が終わるまで知らないフリを貫こうと決めた。

 

 

 

 

 

そこまで世の中は甘くない。

 

 

 

 

 

9月になり

 

二学期が始まった。

 

まず

 

仲の良い5人にキレられた。

 

「おまえは最低だ」の一言も頂戴した。

 

で次に

 

同じクラスの

 

ソーラン節リーダーの女の子(ボーイッシュな子ね)

 

にもキレられた。

 

「選ばれたからには、ちゃんとやれ!」

 

と正論中の正論を頂戴した。

 

 

 

 

俺は何も言い返せなかった。

 

だって俺が100%最低だからね。

 

 

 

 

俺が知らない間に

 

俺が知らない人がリーダーとして

 

俺の代わりに選ばれていて

 

俺はソーラン節リーダーという地位から

 

ただの一般の生徒となり地位が転落した。

 

・・・そりゃそうだけど。

 

 

 

 

 

めちゃくちゃ恥ずかしかった。

 

だってさ・・・

 

リーダー達だけでさ・・・

 

特製のTシャツとか制作して着てたんだぜ。

 

元・リーダーの俺は

 

もちろん体操服だぜ。。。

 

何人かの人に

 

「あれ!?桜田ってリーダーに選ばれてなかったっけ?」

 

とか言われちゃってんだぜ。。。

 

 

 

 

もう

 

ここからは恥ずかしさの連続よ。

 

 

 

 

 

9月に入ってから

 

俺も普通の生徒として

 

リーダー達からソーラン節を

 

教えてもらわなきゃいけないようになったんだけど

 

基本的にどのリーダーも俺にキレてんのよ。

 

『無断で練習をサボったコイツに教えたくないわ!』って雰囲気がバシバシ出てるわけ。

 

しかも

 

俺のソーラン節の才能がゼロに近いのか

 

覚えが遅いのよ俺。とっても遅いのよ。

 

覚えたとしても

 

皆の動きよりワンテンポ遅れて動いてるから

 

リーダー達から

 

『おまえはマジで迷惑の塊』って目線がキツイし。恥ずかしいし。

 

体育祭が近づいてきたら

 

リーダー以外の生徒からも

 

『コイツはマジで何なの!?』って呆れられてたからさ。

 

 

 

 

 

 

なんかね・・・

 

すべてがマイナスになった・・・

 

って気がしたね。

 

信用は失うし

 

覚えが悪いから迷惑な存在になってるしさ。

 

俺の中学3年生まで得た何かが

 

ソーラン節の踊りをワンフレーズ覚える度に

 

失われていく気がしてたね。

 

何かが確実に失われていったよ。

 

 

 

 

 

 

体育祭の当日が来た。

 

ソーラン節の本番よ。

 

生徒の数が凄いから

 

保護者の数も凄いわけ。

 

しかも

 

『今年はソーラン節を踊ります!』って保護者に告知してあるから

 

例年より保護者の数が多い多い。

 

え?俺の親?

 

もちろん来てないに決まってるだろ!!!

 

来るわけねぇーから!!!

 

 

 

 

 

 

 

ソーラン節の時間になったよ。

 

リーダー達が他の生徒の立ち位置も指示するんだけど

 

俺は

 

当たり前のように一番後ろね。

 

大勢の保護者の前に

 

リーダー達がズラリと並んで

 

そこから

 

ソーラン節が上手な生徒順で並んでいくんだよ。

 

あっ。ちなみにリーダー達は法被(はっぴ)を着てたね。

 

俺?安定の体操服だけど?

 

やっぱ体操服が動きやすいしさ。

 

体操服で一番後列ね。

 

何回も言うね。一番後ろ。

 

何歩か下がったらフェンスに当たるよってぐらい後ろね。

 

仕方ないよね。俺が悪いんだから。

 

 

 

 

 

 

いきなりさ・・・

 

リーダーとか前列の生徒が踊り始めたんだよね。びっくりしたよ。

 

マジで驚いた。

 

え!?なんで?なんで?

 

って言う前に理由が判明したよ。

 

 

 

 

 

 

後列だから

 

音がコッチまで届いてないんだよね。

 

いつの間にかソーラン節の音楽がスタートしちゃってたってわけよ。

 

音が小さいのか

 

そもそも音が届かないぐらい後列なのか

 

原因は不明だけど

 

後ろから2列目ぐらいの生徒は

 

マジで無音だったよ。

 

無音だから

 

後列の生徒は己の勘で踊ってたからね。

 

でも

 

後列にいるぐらい踊りのセンスがゼロの連中の集まりだから

 

踊りがグチャグチャなわけ。

 

元々センスないのに

 

音すら届いてないから

 

後列の人間はソーラン節の自主制作ダンスみたいになってたよ。

 

一番後ろにいた俺なんかは

 

後列の奴らが無音で踊り狂ってるのを見て

 

『地獄絵図だ・・・』って呟いたんだから。

 

無音で踊ってんだもん。

 

下手クソな連中が。

 

地獄だよ。マジで。

 

 

 

 

 

 

リーダー達と前列の生徒達の動きが止まったから

 

『あっ終わったんだな』って

 

そこでソーラン節が終わったことに後列の連中は気付くっていう状態ね。

 

どこでスタートして

 

どこでゴールしたのか

 

不明のまま終了よ。

 

 

 

 

 

なんかね・・・泣いてた。

 

リーダー達とか先生とかさぁー・・・

 

泣いてたよ。

 

俺は最後尾にいたから

 

うっすらとしか見えなかったけど

 

前方の人達は泣いてたよ。

 

ある意味では俺が断トツで泣きたかったんだけど。

 

前方の人達はキレイな涙を流してたっぽい。

 

ほんと・・・みんな・・・

 

素敵な夏になったんだと思う。

 

涙がキレイだったもん。

 

もう一回だけ言うけど

 

俺が本当は泣きたかったよ。

 

色んなものを失ったからね。

 

 

 

 

 

『もうソーラン節は思い出から消去しよう』

 

と俺はソーラン節のことは頭から消すことにした。

 

最初から俺の人生にソーラン節なんぞ無かったのだ!と。

 

 

 

 

 

 

・・・が!!!

 

このソーラン節から10年後・・・

 

まさかの10年後だ・・・

 

 

 

 

 

 

俺は25歳になっていた。

 

日々の酒造り業務に追われて

 

疲れまくりの毎日。

 

その日も家に帰ってシャワーをサッと浴び

 

テレビを見ながら夕飯を食べていた。

 

見ていた番組がつまらなかったので

 

適当にチャンネルを変えた。

 

地元のケーブルテレビで俺の母校の中学校が映っていた。

 

『ん?なんだろ?』

 

久々に見る母校は何も変わりなく・・・

 

 

 

 

 

 

 

ソーラン節を踊っていた。。。

 

 

 

 

 

 

 

 

えっ!?えっ!?えっ!?

 

どゆこと???

 

俺が動揺していると

 

アナウンサーの声でナレーションが入った。

 

 

 

 

 

 

「この△△中学校では10年前から体育祭でソーラン節を踊っています。今ではソーラン節はこの中学校の名物になっています。この10年間、3年生は先輩達からソーラン節を引き継ぎ伝統を守っています。」

 

 

 

 

 

 

マジで!?マジで!?

 

伝統になってるやんけ!!!

 

俺は驚いた。

 

あのソーラン節が10年間ずっと後輩達に引き継がれているとは夢にも思わなかった。

 

 

ナレーションは続いた。

 

 

 

 

 

 

「今、この中学校でソーラン節を教えている指導者がいます。その指導者は・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんと!この中学校で10年前に初めてソーラン節を踊った時のリーダーなのです!」

 

 

 

 

 

 

 

うわぁー・・・嫌な予感がする。

 

俺は嫌な予感しかしなかった。

 

ゾクゾクした。(悪い意味で)

 

 

その指導者がテレビに映し出された。

 

 

 

 

 

 

10年前に俺にキレた、あのボーイッシュな女の子が立っていた。(まさかの本人)

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・うわぁぁぁ!!!ごめんなさい!!!

 

思わず俺はテレビに向かって謝った。

 

10年前の出来事がトラウマとして蘇ってきたのだろう。

 

しかも

 

10年経った今もキレていた。

 

どんな立場で生徒にソーラン節を教えているのかは分からないが

 

ダラダラ動く生徒に対して

 

 

 

 

 

「やると決めたら最後までちゃんとやりなさい!!!」

 

と怒鳴っていた。

 

俺は10年前を思い出してしまい・・・

 

 

 

 

 

 

静かにテレビを消した。

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(俺みたいな生徒にも居場所を・・・)