お疲れ様です。桜田紋吉でぇす!
本当に今年は体調が悪い日が多くて困っております。
もしかしたら病院に行くよりもお祓いに行かなきゃダメなのかな・・・。
では・・・
本題へ・・・。
俺の職場には
忙しい時にだけ出勤してもらうアルバイトさんが数名いる。(全員が70代の男性)
その中に
『源田さん(もちろん仮名)』という75歳の爺さんがいるのだが
この源田さんと俺はめちゃくちゃ仲が良い。
お互い野球好きというのも仲が良い理由だろうが
年の差の割には妙に気が合う。
で
源田さんから不思議な話を聞いた。
源「最近、体調悪いらしいな!」
俺「そうなんですよー。原因もよく分かんないんですよぉ。」
源「今の時代に【サラクスウ】があれば良いのになぁ!アレは効くからなぁー!」
俺「・・・サラクスウ?」
源「ふふっ。そりゃ知らなくて当然だ。そもそもが秘密のやつなんだから。」
俺「ん?どういうこと?」
俺は【サラクスウ】について
源田さんから詳しく聞いた。
それは40年ほど前。
俺が生まれる少し前の話だ。
当時30歳の源田さんは
父親が末期の癌になり
医者から「これ以上、打つ手なし」と言われていた。
源田さんも『そろそろ死ぬんだな。親父は。』と諦めモードで過ごしていた。
すると
近所に住んでいる知り合いの爺さんが
「おい。親父さんに【サラクスウ】は飲ませたのか?」
と小声で言ってきたらしい。
源田さんは
爺さんが小声で喋ってきたので
『なんかヤバい話なんだろうな』と思い
「サラクスウ?何?」と小声で聞き返した。
そっから爺さんが【サラクスウ】について
色々と説明したらしいのだが
簡単にまとめると
【サラクスウ】とは薬の名前だと。
そして
その薬は
源田さんの家から
50km離れた場所にある
『食器を作っている工場』の経営者(もうすぐ80歳の男性)が1人で内密に作っている薬らしい。
つまり
食器を作っている工場=皿屋(サラヤ)
で
皿屋の主人が作る薬なので
皿薬(サラクスリ)だと。
サラクスリが方言の影響で訛って
【サラクスウ】と呼ばれるようになったと。
そのサラクスウは
とにかく効く!どんな病にも効く!
という最強の薬で
知る人ぞ知る秘密の薬らしい。
もちろん
内密に製造している薬なので
誰にも話してはダメだと。
ちなみに
【サラクスウ】という名称も勝手に呼ばれているだけなので
正式名称っていうか・・・
そもそも『名前すらない薬』であり
実際は
『薬』とすら言っていいのかどうか分からない物だ。
・・・いや、ツッコミポイント多すぎだろ。
内密に薬を作っている?江戸時代の話か?
40年前って
そんな昔じゃないよな!?
とんねるずがテレビで大暴れしていた頃だと思うし。
すでにサザンオールスターズや松任谷由実は大活躍中だし。
そんな時代に薬を内密に製造!?
百歩譲って
製造までは分かるけど
その薬を本人以外が使う気になるかな!?
病院も薬屋も無い時代なら理解可能だけど
昭和の終わり頃の話だぞ!?
謎が多いって!!!
源田さんも『怪しいなぁー・・・』とは思ったものの
『どうせ親父はそろそろ死ぬ運命なんだから試してみるか!』(その考えもヤバい)
と爺さんが言った【サラクスウ】を手に入れることを決意した。
食器工場の経営者(サラクスウ製造者)は
サラクスウは誰にでも売るわけじゃなく
必ず経営者の知り合いと一緒に買いに行かないと売ってくれないとのこと。(一見さんお断りってやつ)
源田さんは
サラクスウの話をしてくれた爺さんを車の助手席に乗せて(爺さんは知り合いだから)
食器工場へと向かった。
食器工場へ行く数日前に
源田さんは
爺さんから「中身が空っぽのマッチ箱を持って行けよ」と言われていたので
当日はポケットにマッチ箱を入れて
食器工場まで車を走らせていた。
運転中に
「マッチ箱は何に使うの?」と爺さんに質問すると
「ソレに薬を入れてもらうんだ。」と。
「どんな薬?」と源田さんが再び質問すると
「ボンタンアメみたいなやつだ。包み紙まで一緒に口に入れて飲む。一気に飲み込むには少し大きいが、一気に飲まないとダメなんだよ。」
・・・謎は深まるばかりだ。
源田さんと爺さんは食器工場へ到着。
建物の中に入り
中を見渡すと
奥から経営者らしき人(男性)が出てきて
爺さんに
「おっ。久しぶり!アレか?」と確認した。
爺さんが
「コイツ(源田さん)に渡してやってくれ。」
と言うと
「分かった。事務所の裏へ来いよ。」
・・・どうやら、ここではマズいらしい。
事務所の裏は薄暗く不気味な雰囲気。
しかし
サラクスウを製造している経営者は
不気味な雰囲気とは似合わないような
キラキラと若々しい肌と髪。
年齢は80歳に近いらしいが
めちゃくちゃ若く見えたという。
「君、マッチ箱は持って来た?」
そう言われた源田さんは
ポケットからマッチ箱を出して渡した。
経営者は
マッチ箱の中へ
ボンタンアメに似た四角い形の物を3つ入れ
源田さんへ渡した。
「料金はいくらですか?」
と源田さんが聞くと
「そんなのは気持ちでいいんだ。コレを飲んで病が治れば、君が思う金額を後から持って来なさい。飲んでも変化がなければ、私は何も要らないから。」
源田さんは
『変な所に来ちゃったな・・・』と少し後悔した。
そして
経営者がサラクスウを使用する際の注意事項を話し始めた。
「サラクスウは1回につき一粒だけ。一気に飲み込む。何粒も飲むと危険。」
「一粒でも飲んだら、その後1ヶ月はサラクスウを飲んではいけない。」
「一粒飲んだら【赤い水玉模様】が全身に発生する。なので1週間は家から出てはいけない。近所の人が驚くぐらいに【赤い水玉】が大量に発生するので病院などに通報される可能性が高くなる。通報されると面倒なことになるから絶対に家から出ず、誰にも見られてはいけない。」
「ちなみに【赤い水玉】が発生しても痛みや痒みは無い。」
「サラクスウが効いてくるのは【赤い水玉】が全身から消えた時から。」
「サラクスウのことを他人に話してはいけない。絶対に秘密。」
経営者は
慣れた様子でスラスラと注意事項を伝え終わるとスッと事務所へと戻った。
源田さん達も帰宅。
帰宅後・・・
さっそく源田さんはサラクスウを親父さんに一粒飲ませた。
数時間すると
親父さんの全身に赤い水玉模様が現れた。
源田さんは
その時の様子を『(親父さんが)妖怪みたいだった』と小さく笑いながら言っていた。
さすがに
親父さんの全身が赤い水玉に包まれた時には『ヤバい』と焦ったらしいが
3日を過ぎると赤い水玉は消えた。
そして
末期の癌の患者によくある『足のむくみ』が
赤い水玉が消えると同時に治っていた。
これに驚いたのが
親父さんを担当していた医者だ。
「え?なんで?」と動揺していたらしい。
それから数年間、親父さんは死ななかった。
普通では考えられない・・・と医者が言っていた。
んで
親父さんが死んで
何年も経過したある日・・・
源田さんが
たまたま部屋を掃除していたら
残りのサラクスウが出てきた。
源田さんは健康だったので
サラクスウを飲む必要性はなかったのだが
『俺が今、飲んだらどうなるんだろ?』と
興味本位で飲んでみた。
あっという間に全身が赤い水玉模様へと変貌した。
『こりゃ数日間は会社には行けねぇ』と急いで職場へ連絡した源田さん。
数日後に赤い水玉が収まった時に
源田さんは思った。
『そもそも健康だから何の意味もねぇー』と飲んだことを後悔した。
『赤い水玉も消えたし、また明日から会社へ出勤するかぁ』なんて思いながら
その日の夕飯を食べると・・・
源田さんは驚いた。
とんでもなく夕飯が美味いのだ。
今までに経験したことがない美味さだった。
もちろん
高級店へ食事をしに行ったわけではない。
普通の家庭の夕飯だ。
それが恐ろしく美味い。
とにかく美味い。
その料理自体が美味いというよりは
『異常に美味く感じる』のだ。
それから1週間は『異常に美味い感覚』が続いた。
とにかく美味いので
朝飯・昼飯・夕飯のすべてで胃が限界寸前になるまで食べまくった。
1週間を過ぎると普通の感覚に戻った。
当時を思い出して源田さんは言っていた。
「たくさんの美味い物を今まで食べてきたけど、あの1週間で食べた普通の料理の異常な美味しさを超える物は無い。」と。
サラクスウを飲んでから数十年後・・・
『そういえばサラクスウってあったよなぁ』
何故かサラクスウを思い出した源田さん。
もうさすがに
家の中にサラクスウは一粒も無かったが
あの『食器工場(サラクスウ製造場所)はまだあるのか?』と気になった。
調べた結果・・・
工場は無くなっており、経営者も行方が分からない状態だったらしい。(経営者は高齢だったので早い段階で亡くなっているかも)
源田さんにサラクスウを紹介した爺さんも亡くなっていて
『本当にあのサラクスウって何だったんだろうか?』と疑問が増していき
あれから数十年も経っているので
もう近所の人に話しても大丈夫だろうってことで
源田さんは近隣に住む人達に聞いてみた。
すると・・・
源田さんの家がある集落に住む人々の中で
70歳より上の年代の人ほぼ全員が
「サラクスウ?・・・知ってる!知ってる!飲んだことあるよ!」と答えたらしい。
しかし
その集落以外の人にサラクスウのことを聞いたら
「サラクスウ?・・・は?何だそれ?」と
知ってる人は皆無だったという。
めちゃくちゃ狭い範囲だけで認知されていたのだろう。
ちなみに
サラクスウを飲んだ経験のある人からは
本当か嘘か分からない当時の様々な話を聞いた。
「あれは覚醒剤だ」
「サラクスウに食器を作る時に使う薬品(人体には使用不可)が含まれていて飲んだら死んだ人もいるってよ」
「女性は若返るって噂だったから何粒も飲んだわよ」←80歳の婆さんの証言
「サラクスウを作ってた人は警察にバレて逮捕された」
「サラクスウの噂を聞いた病院の医者が何粒か手に入れて患者にも飲ませていた」
「サラクスウに興味を示した大手の薬品会社が話を聞きに来たらしい」
「40歳で医者から『もうダメです。そろそろアナタ死にます』って言われた女性がサラクスウのおかげで今も生きている」
・・・様々な人がサラクスウについて様々な証言をしてくれたとのこと。
この話を聞いた俺は
なんとも言えない気持ちになった。
たった40年前なのに不思議が多すぎる。
不気味で気味が悪い。
世にも奇妙な物語みたいだ。
そして
これを今、ブログに書いていることを少し後悔している。
なぜなら
これといったオチがないからだ。
(書いている途中に思ったもん。この話ってどんなジャンルの話なの?って)