振り返ればオアシス!

桜田紋吉(もちろん仮名)です。特に何のテーマも無いブログ《ノンポリブログ》です。過去のエピソードを書く時は事実を元にして右往左往しながら書いているので100%ノンフィクションかと言われたら胸を張って「知らん!」と答えるつもりです。

予想外の別れ【後編】

はい。こんにちは。桜田紋吉(もちろん仮名)です。春になると喉が痛くなります。





では前回の続きを・・・


前回のブログ→予想外の別れ【中編】 - 振り返ればオアシス!











娘さんと結婚させて下さい!と言うつもりで彼女の家へ挨拶をしに行った俺。


何故か彼女のお父さんは俺の前には現れず


謎の弟が部屋にやって来て


弟が俺に対してまさかのブチギレ。俺が罵詈雑言を浴びせられるっていう展開に。


俺は罵詈雑言から逃れる為に帰宅したが


解決策が全く浮かばず次の日を迎えた。


夜に彼女から電話があり二人で解決策を話し合おうと思っていたが


まさかの彼女も俺に対してブチギレ。


しかしブチギレている内容がどうやら『彼女の家族が言ってたっぽい内容』だった為に「それは本心なのか?」と確認すると「・・・家族は大事だから」と自分の気持ちよりも家族の意見の方で彼女は揺れ動いている状態だと察することが出来た。


その日はそこで電話終了。またも解決策は見つからないまま次の日になった。


相変わらず日中の間も解決策は何も思い浮かばず


気分転換の為に仕事終わりに祖母(母親の母親)の家へと向かった。


祖母といると心が癒されるなぁー・・・と心穏やかな気持ちに浸っていたら


祖母から「昨日◇◇◇(俺の母親の名前)がやって来て『◯◯ちゃん(彼女)のお母さんと会った』って言ってたわよ」と驚きの発言が。


しかも祖母の話によると『母親は◯◯ちゃんのお母さんから俺のことを言われ泣いていた』とのこと。


泣いていたってことは・・・


ガツンとキツく言われたんだろうなってことが簡単に想像出来た。








俺は恐怖感でいっぱいだった。


俺が彼女の弟から罵倒された次の日には俺の母親に彼女のお母さんが会いに行っているのだ。(もしかしたら呼び出されて俺の母親が行ったのかもしれんけど)


『次の日』っていうスピード感が余計に恐く、家族総出で俺を潰そうとしている雰囲気に恐怖を覚えた。


挨拶する前日までウェルカムモードだった彼女のお母さんが俺の母親に何か言ったってことは


彼女のお父さんがお母さんに対して「アイツの母親に会ってガツンと言ってこい」って指示したのか?


そもそも俺の母親にまで何か言う必要あるか?


俺が悪いなら俺だろ。攻撃の対象は俺だろ。この話に俺の母親は無関係だろ?


マジで止めてくれ。


関係の無い人間に俺のことで攻撃しないでくれ。









・・・俺は決めた。


【別れるしかない】と決めた。


このまま打開策を考え続けていても


彼女の家族の誰かが次は俺の父親の所へ何か言いに行くのでは?それとも俺の兄弟の所か?祖母の家?ご近所さんの家とか?職場に来たりしないよな?


って不安と恐怖しかない。


こんな時に「本当に彼女と一緒になりたいなら困難が大きかろうと立ち向かっていかなきゃ!それが愛の力だ!」みたいな綺麗事を言う奴がいるが


そういう奴には綺麗事ではなくアイデアを普通に出してもらいたい。


『困難を乗り越えろ!』より『乗り越え方』を教えてくれ。


それでも


無理矢理にでも彼女と駆け落ちするのが愛の力か?駆け落ちして幸せになったって話は聞いたことないぞ。


ドラマや映画では駆け落ちするまでが二人の盛り上がりのピークで


駆け落ちした後の幸せな二人は描かれていない。駆け落ちした後は地獄だろ。


親から逃れる為に仕事も辞めて知らない土地に逃げて知り合いすら誰もいない場所で二人でコソコソと生活するのが幸せか?違うだろ。ナメんなよ。








どっちにしろ俺はもう別れることに決めた。


彼女への未練はもちろんあるが


未練よりも彼女の家族に対する不信感の方が大きい。


彼女が「もう私の家族の言っていることは気にしないで!私はアナタと一緒に居たいんだから!」って感じなら俺も考えるが


彼女が「・・・いや、家族が第一でしょ」なんだから俺は完全に白旗で降参。


何よりも『今の状態で【彼女と結婚した未来】を想像すると良い未来が見えねぇ』ってのが別れの決断を出した最大の要因だ。









俺も彼女もまだまだ若い。(当時アラサー)


お互いの人生がある。別れるなら早い方が絶対にいい。


ってことで・・・


翌日の仕事終わりに会う約束をした。


『明日には別れるって伝えよう』


心が痛かったがそれが最善の策だと思った。









次の日の夜・・・


どっかの店で食事しながら別れを告げるのも変だと思ったので


待ち合わせ場所は適当にコンビニの駐車場にした。


お互いが同じぐらいの時刻に駐車場へ到着し彼女が俺の車の助手席へと乗ってきた。


彼女も何となく察しているみたいだ。


そりゃそうだろう。











紋吉「あのさぁー・・・もう彼氏彼女の関係を保つことすら無理やと思わん?」


彼女「・・・無理やろうね。」











もう完全に彼女も分かっている。


悲しそうな表情すらしていない。


もう同じ答えがお互い出ている。










紋吉「お互い今後の人生もあるから別れよう。別れるしかないと思う。」


彼女「・・・うん。それがいいよね。」


紋吉「もう仕方ない。・・・元気でね。」


彼女「うん。じゃあね。」









彼女は車から降りようとドアを開けた。











彼女「でも・・・」


紋吉「・・・ん?」


彼女「・・・。」









彼女の動きが止まった。


ドアを開けたまま出ようとしない。


俺は彼女の顔に目を向けた・・・。











彼女は泣いていた・・・。


もしかしたら俺と同じように数日間ずっと心の中で悩んでいたのかもしれない。


俺も彼女も色んな思い・悔しさ・悲しさ・歯痒さが入り交じって言葉には出来ない感情が胸に突き刺さっている。


彼女は泣きながら俺に伝えた・・・。










「でも・・・」


「それでも・・・」


「付き合った日からずっと・・・」












「・・・ずっと楽しかったよ。」












彼女は泣きながら言葉を絞り出した。


俺は胸が痛すぎて辛かった。何も言えない俺。


彼女は涙を拭いた後に車から出て行った。


彼女の「楽しかったよ」の一言が


『楽しかったけどゴメン』の意味にも感じた。


お互いが今回は不本意な結果だと思っていることは二人とも分かっている。









【楽しいことを優先したいけど、それが不可能という環境の辛さ】が


彼女を『今までも・今も・これからも』ずっと苦しめていくんでは?と思うと俺も辛い。


もう俺と別れるのは仕方ないとして


これから先の未来で【自分が結婚したい人と結婚する】という当然のことが当たり前のように出来る日が彼女に訪れてくれるのを俺は切に願う。









どうにもならないことって生きていりゃ何回も遭遇する。


今回の件もそうだ。どうにもならん。


だから俺は別れた次の日には立ち直っていた。


自分でも驚くぐらいにダメージは少なかった。


だって【どうにもならねぇ】から。


『あん時にこうすりゃよかった』とか『もっと違う方法だったら』とか1ミリも思わなかった。


だって何回も言うけど【どうにもならねぇ】からね。


それが不幸中の幸いだ。俺からしたら。


人間って完全に打ちのめされたら『もう前を見るしかねぇ!』って気持ちになるんだなと勉強になった。


逆に人は少しでも勝ち目があったりチャンスがあったりすると負けた時に結果を引きずるのかもしれない。


良いのか悪いのか今回は完全に俺には勝ち目が無かった。


だから大丈夫。一瞬で吹っ切れた。










・・・とは言ったものの


別れた次の日には『さっそくスマホの中の彼女の連絡先とか一緒に撮った写真とか消去するか!』とはならなかった。


なんだかんだで色々と思い出がある。


終わり方が異常だっただけで思い出とは美しいものだ。


終わったからこそ余計に美しく感じる。


・・・まぁスマホを見返したりして思い出に浸ることはないけど。


でも


すぐに消去できるものでもない。


時が来たら消去しよう。











それから数ヵ月後・・・


当時の俺はiPhoneを使用していた。


何が原因か分からないが愛用のiPhoneが動かなくなった。


しかも当時ソフトバンクの店では修理受付をやっていなかったので(俺の記憶が正しければ)


iPhoneからアンドロイドに機種変することにした。(アップルストアとか近所に無いから修理の時に面倒になるもんね)








結果的にすべてのデータが消えた。


動かないiPhoneからアンドロイドへのデータ移行は難しかったらしく完全にデータが消えた。


よって


彼女の連絡先も。メールも。写真も。


すべて消えた。


もしかしたら『iCloud』にデータがあるのかもしれないが


もうIDだのパスワードだの覚えちゃいねぇ。(ってか彼女との思い出を見返したくて『iCloud』を開いちゃうほどダサい男でもないぞ俺は)









本当にすべて消えた。


キレイに。サッパリと。


まるで最初から彼女との関係なんて無かったかのように消えた。


からしたら逆に好都合だ。










俺は自分に言い聞かせた。


最初から無かったのだと。


彼女との時間は幻だったのだと。


すべてが嘘だったんだと。










ただ・・・


彼女の「楽しかったよ」の言葉と気持ちだけは


嘘じゃなかったはず・・・


と自分に都合の良いように胸に残しておくとする。
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(あの子、幸せになってるといいなぁ)