振り返ればオアシス!

桜田紋吉(もちろん仮名)です。特に何のテーマも無いブログ《ノンポリブログ》です。過去のエピソードを書く時は事実を元にして右往左往しながら書いているので100%ノンフィクションかと言われたら胸を張って「知らん!」と答えるつもりです。

予想外の別れ【前編】

こんにちは。桜田紋吉(もちろん仮名)です。今日もヨロシクお願いします。





さてさて・・・


このブログで過去に酒造会社で酒造りをしていた頃のエピソードは何度も書いた。


酒造会社に入社した経緯も退社した理由も書いた。


辞めた理由は何個かあるが


やはり『20代後半になり結婚を考え始めた』ってことが辞めた理由としては大きい。それだけが理由ではないけども。


しかし


その当時結婚を考えていた彼女とは結婚しなかった。


結婚する為に転職し安定した生活を手に入れたのに結婚しなかった。


結婚しなかったし、結果的に別れた。


よくよく考えてみれば・・・これこそが人生の面白さなんだろうなと思う。







あの頃のことを具体的に書いてみるか。。。







酒造会社を辞めた当時の俺は


『休日の数』『給料の額』を重点的に職を探し始めた。


・・・で見つけた。


当時は太陽光発電で電気を売電する時代に突入した頃であり(昔からありはしたと思うが)


今とは違い電気が高値で売れるってことで自宅や余っている空き地に太陽光パネルを設置する人が急増していた。


運が良いことに


俺の家から近い場所に太陽光パネルを製造する工場があり


その工場も『太陽光発電バブル』のおかげで経営が右肩上がり。人手が足らないようで結構な人数を募集していた。


そこに応募して見事合格。


入社してから最初の方は慣れない仕事のせいで四苦八苦していたが


半年も過ぎると仲間も増え作業にも慣れて落ち着いた日々を過ごしていた。








『そろそろ結婚するタイミングかな』と俺は思い


酒造会社に勤務していた時代から付き合っていた当時の彼女に『アナタの両親に「結婚を考えている」って挨拶しに行こうかな』と伝えた。


彼女は両親に話を通してくれたらしく俺が挨拶をしに行く日がすんなり決まった。







当時付き合っていた彼女は『真面目を絵に描いたような人』だった。


THE・真面目って感じだ。


レベルの高い進学校を卒業し、大学で勉強しながら難しい資格を取得しており、その難しい資格を持っている人しか働けない特殊な職場で勤務していた。


彼女は今まで道を間違えたり派手な行動をとって迷惑をかけることは皆無だったはず。髪すら染めた経験が無い人だった。生まれてから1度も実家を出て暮らしたことが無いとも言っていた。独り暮らしをしたいと思ったことすら無いらしい。


そんな彼女とは『友人の結婚式の二次会』で知り合うというベタなスタートだった。


同い年で話も弾み、真面目なので最初の印象も良かった。


とにかく真面目な人だったので付き合い始めてから数ヶ月後には


俺が「両親に『お付き合いしてます』って挨拶しに行った方がいいよね?」と確認してしまうほどだった。


真面目な人だったので『両親も真面目だろうから挨拶はしとかないと』と俺は思ったのだ。


そんな彼女の返事は


「いや、今まで両親に彼氏とか紹介したことがないから挨拶に来てもらったとしても両親が動揺してパニックになると思うんだよね。だから、結婚する時とか同棲するってなった時に挨拶しに来てくれればいいから」


・・・っていう返事だった。









その返事から数ヶ月後に結婚を視野に入れ転職し生活も落ち着いてきた。


いよいよ『結婚させて下さい』と挨拶をしに行く日が近付いてきた。









挨拶をしに行く前日に俺は


緊張と不安で会社の先輩に「明日、彼女の両親に結婚の挨拶をしに行くんですが印象が良くなる方法とかあるんですか?」と質問した。


先輩は「スーツで行ってニコニコしときゃ大丈夫だろ」と言ってくれた。


・・・なるほど。スーツか。確かにね。









ってことで


彼女に『スーツで明日は行くよ』みたいなメールを送った。


すると


『両親に「明日は彼氏がスーツで来るみたい」って言ったら「堅苦しくしなくていいから普段着で来ていいよ!」だって!で「紋吉くんの好きな食べ物は何?それを用意しとくね!」ってお母さんが言ってた!』


と嬉しい返信が来た。めちゃくちゃウェルカムモードじゃん。


かなり気がラクになった。










そして挨拶をする当日・・・


普段着でいいと言われたものの


少しは印象を気にしないとダメだと思い『細めの黒いパンツ』『白のポロシャツ』という予備校生のような爽やかファッションで行くことに決めた。(夏でした)


彼女のお父さんが見ても、彼女のお母さんが見ても印象が悪くならないように気を付けたつもりだ。









彼女の家まで車で向かい、家の前の駐車場に車を停めた。


彼女の家は俺が想像していたような昔ながらの日本家屋って感じで家の外見からも住んでいる人の真面目さが滲み出ている。


しかも大きな家だ。かなり大きい。圧倒されそうな大きさだ。


・・・なんて思っていたら玄関から彼女が出て来た。


彼女も少し緊張しているのか表情が固くなっているように見えた。


どう考えても俺の方が緊張しているけど。








桜田「いやぁー・・・緊張するわ。」


彼女「そう?平常心に見えるけど。」


桜田「いやいや。それはない。」


彼女「とりあえず家に入って。」








玄関の扉を開け「こんにちはー!」と俺なりに元気よく挨拶をした。


すると奥の方から彼女のお母さんが「いらっしゃい」とやって来た。


彼女が緊張気味に「彼氏の桜田くん」と俺を紹介すると


お母さんは「この家にさっきまでいたアンタが何で緊張してんのよ!」 と彼女に笑いながらツッコミを入れていた。


ほのぼのとした時間が流れる・・・







桜田「わざわざ今日は時間を作ってもらってありがとうございます。よろしくお願いします。」


頭を下げる俺。


彼女のお母さん「わざわざ来てもらってこっちこそありがとうね。じゃあ和室に飲み物とか用意してるから来てもらえる?」


玄関からすぐ横の和室に案内された。


襖を開けると『THE 和室』が広がっていてテーブルと飲み物が和室のど真ん中にポツンと置いてある。


ふかふかの座布団に正座する俺。







ここであることに気付いた・・・。


『・・・あれ?彼女のお父さんはどこ???』


お父さんは和室で待機されていると思っていたら違うみたいだ。彼女から前日に聞いた話では両親どちらも挨拶しに行く日は家に居るということだったが・・・


なぜだろう???








とりあえず彼女のお母さんに聞いてみた。


「今日はお父さんはいらっしゃるのですか?」


その言葉を聞いたお母さんは少し動揺しながら


「・・・いるよ。別の部屋にいるから。」








なーんか変な感じだ。


別の部屋?お父さんは後から来るのだろうか?


そもそも


彼女のお母さんは最初から俺と目を一切合わせようとしない。


ウェルカムモードじゃなかったのか?


好きな食べ物を用意しとくんじゃなかったのか?


なんだろうか・・・この雰囲気・・・


さっきから彼女も口数が少ない。


この感じは緊張しているから口数が少ないってわけでもなさそうだ。







俺の横に彼女が座っていて


テーブルを挟んで俺の目の前に彼女のお母さんが座っているという状況。


会話も全然弾まず・・・


一応お母さんに世間話を振ってみても会話が一向に広がらない。あまり話もしたくなさそうだ。








微妙な空気のまま数分が過ぎた・・・。


お父さんが来る気配も無く、場が盛り上がるような雰囲気も全くしない。


『うわぁー・・・どうしよ・・・』


俺はプチパニックを起こしていた。


どうすりゃいいのか全く分からない。








・・・と、その時・・・!









和室の襖が開いた!


ついにお父さんの登場か!?








なんて思ったら・・・


今風の若い男性だった。大学生みたい。


何か言いながらこっちに近付いてきた。


iPad壊れててマジで動かねぇー・・・」







ん?なんだ?iPadがなんだ?


この雰囲気の中によく突入できるな・・・と不気味に感じていたが


顔が彼女に似ていたので『彼女の弟』だということは早い段階で分かった。


彼女から過去に聞いてはいた。五歳ほど年が離れている弟がいるって。


でも「弟はここからずっと離れた県外の大学に合格して県外で暮らしている」って言っていたし何でここにいるのかは不明だ。


俺の記憶が正しければ弟は県外の大学に通う大学生のはずだ。年末年始とかお盆休みやゴールデンウィークなら帰省してんのも理解できるが今はそんな時期じゃない。









そんな彼女の弟がお母さんの横にまで来て


iPadが~~」みたいなことを何回か言っていた。


とにかくiPadが動かないとのこと。








・・・うんうん。あるよね。謎に動かなくなる時ってあるよね。


なんだろうね?不思議なタイミングで電化製品って動かなくなる瞬間があるんだよねぇ。分かるわぁー・・・。









・・・って、そのトーク絶対に今やるもんじゃないよね。


そのiPadトークは今じゃないよね。


わしゃ一生に一回しかない『結婚の挨拶』をしに来てんだけど!


空気感で分からんかな?大学では空気感までは習わんってか?






俺が非常にモヤモヤしていたら・・・


彼女のお母さんが弟に対して・・・










「ほらぁ。アンタも立ってないでここに座んなさい。」









・・・えっ!?なぜ!?分からん!!!


しかも普通に弟が座ったし!!!


お母さんの横の『多分お父さんがそこに座るんだろうなって予想していたポジション』に座ったし!!!








いやいやいや・・・マジでどゆこと!?


まさか弟は・・・










俺と話したいのか?


仲良くなりたいんだろ!さては!


なるほどぉー・・・オッケーオッケー!かわいいじゃねぇか。さっそく将来の義理の兄と会話を楽しみたいんだろぉ。


ほんっとかわいいとこあるねぇ。









ってことで・・・


お母さんの横に座っている弟にニコッと微笑みながら「どうもっ。桜田です!」と爽やかに挨拶をした。











弟「・・・あぁ。はいはい。」(俺をチラッとだけ見た)










えぇぇぇぇ!!!!!


やばっ!!!え?え?え?え?え?


これ現実?リアルなの?なんなの?










弟「ってかさぁー・・・お母さんさぁーここら辺にソフトバンクショップあったっけ?iPad見せに行こうかなぁー。」


お母さん「ここら辺には無いわよぉ。車で20分ぐらいの場所にしかないわぁ。」


弟「マジで!?やっぱ田舎は無いんだなぁ。俺が住んでる場所なら近くに何店舗もあんのにぃ。」


お母さん「そりゃ都会と田舎は違うわよぉ。でもこっちも街の方は最近どんどん発展していってるわよぉ~!」


弟「そうそう!俺が帰省する度に新しい店が増えていって驚くんだよなぁ。」


お母さん「そういえばこの前は国道沿いに新しく大きな店がぁー・・・」










恐ろしいことに


弟とお母さんの親子トークは何分も続いた。


マジで何の時間か分からなかった。


親子トークが開催されている途中に


俺の横にいる彼女がどんな顔しているのか見てみたが無表情で弟とお母さんを見つめているだけだった。


俺は一応ニコニコと表情だけは作っていたが時間が過ぎれば過ぎるほど俺も無表情になり


親子トークの最後の方は正座を崩しラクな姿勢で目の前にある飲み物をボーッとしながら飲んでいた。









・・・こりゃ日が暮れてしまうぞ。


このまま時間が過ぎるのはダメだ。思い切って声を掛けてみた。


「あのぉー・・・すいません。お父さんはコチラの部屋には来られないんですか?今日は結婚について少しでも話せたらって思って来たもんで・・・」








親子トークを繰り広げていた二人がピタリと会話を止めて俺の方を見た。











弟「・・・アンタなんかが姉ちゃんと結婚できるわけないだろ。お父さんはアンタと会う気すらないわ。何を勘違いしてんの?」











・・・まぁ、なんとなく嫌な予感は途中からしていたが


実際に言われるとショックだった。


俺は言葉を失った。









次回へ続く・・・
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(人生いろいろ)